金網デスマッチ

金網デスマッチ

昨年、メキシコでの話。
町の中には、金網でくくられた簡易なフットボールコートがいくつかあり、ローカルピープル同士の熱い戦いが日々繰り広げられているのでした。
僕はたまに、地元の人たちのフットサルに混ぜてもらい一緒にボールを蹴っていたんですが、それはそれは激しいフットボールでした。
たった一人きりでコートに向かった僕を快く入れてくれたものの、改めて、この場所において自分が「アウェイ」な状態にいると思い知らされました。
初めて入るコートの中では、この「ハポネス(スペイン語で日本人の意)」が役に立つ選手かどうかですべてを判断されてしまいます。
みんな真剣だから、遊び半分だと思われたらコートに立たしてももらえなくなる。
コートの中はある意味、草プロレスみたいだった。
なにしろここには、審判がいない。
かなり際どいプレーも頻発した。ボーっと突っ立っていようものなら、吹っ飛ばされる。試合開始2分。金網に激突し、手のひらを流血!(金網も、ボロボロで危なかった。)でも。血を見ることにより、僕は「生きている」ことを実感し嬉しくなった。僕の中で眠っていた何かが叩き起こされる感じだった。
ミスをすれば。
客席から、かなりのブーイング。
なにも出来ないまま、試合が終われば。
客席では、誰も話しかけてくれない。チームメイトも、そっけない。
こりゃぁシビアだ。
次こそは…
何試合かして、ある時。僕をなめていた相手のミスフィードのボールをカットし、やっと。
「ゴール!!!」
カットされてた奴は僕を睨んでいた。
だけど、この瞬間から僕は認められ、周りの人たちから初めて「お前の名前は何だ?」と聞かれたのです。
最高の気分!!!
それからは、気分もリラックスしうまくプレーすることが出来、点を取る度に仲間から「HIRO」の名前を大声で呼ばれたのでした。大袈裟に思うかもしれないけど、英雄扱いだった。「HERO」って呼ばれてるように聞こえた笑
熱かったなぁ。
先週、実は都内でフットサルをしていて、足のじん帯を損傷してしまったんです。今は治ってきたけど。
そんな今日この頃、ふとあの「金網デスマッチ」を思い出していたんです。